Ⅱ類 電子情報学プログラム
B4, 加賀谷優真
はじめに
近年,電気通信大学陸上競技部が共用しているGoogleドライブの容量の逼迫が問題視されている。原因の一つに,大量の動画・画像がある。短距離,中距離,長距離にかかわらず,動画像による練習記録は需要があり,都度マネージャーさんたちが動画像を撮り,保存してくださっている。また,毎試合で競技風景や記念写真が撮影され,ドライブのフォルダに大量に保存されている。そこで本記事では,対策として画像圧縮を提案する。

グラフフィルタバンク
フィルタバンクとは,複数のフィルタとサンプリングによって画像をサブバンドに分解し,任意の処理を加えて再構成するシステムである。フィルタバンクのブロック線図は下の図の通りである。 はそれぞれ分解側と合成側のフィルタであり, はローパスフィルタ, はハイパスフィルタである。 はダウンサンプリング, はアップサンプリングである。
フィルタバンクは以下のように動作する。
- 画像 を分解側で低周波・高周波サブバンド に分ける。
- サブバンドに圧縮などの処理を施す。
- 合成側で画像 を再構成する。
今回はグラフ信号処理1にもとづいたフィルタバンクを用いる。具体的に,双直交フィルタバンク(GraphBior)2によりそれぞれのフィルタを設計する。

画像のグラフウェーブレット分解
フィルタバンクを2次元に適用し,画像を4つのサブバンド に分解する。 に同じ操作を繰り返すことで任意のレベルのサブバンド まで分解する。すべてのレベルの高周波サブバンド の画素値を降順に並び替え,上位から 3 %の高周波画素値を抽出し再構成する。

提案法
本記事では,以下の2つの方法を提案する。それぞれの方法で画像を圧縮し比較する。
- 提案法1:高周サブバンドの上位 3 % のみを抽出し再構成する(上で述べた方法)。
- 提案法2:再構成せずにサブバンドのまま保存する。
検証
以下の画像を用いた。ただし,すべて JPEG である。








分解レベル 1~5 で,提案法1,2にもとづいて画像圧縮をした。以下の表は圧縮後のそれぞれの容量を表す。容量の最小値を赤文字で示す。また,品質評価のため,原画像と圧縮画像との PSNR と SSIM も算出した。なお,提案法2による圧縮画像は原形をとどめていないため,PSNR,SSIM を求める意味はない。
提案法1の場合,分解レベルが上がるにつれて圧縮率が上昇するが,レベル4以降は鈍化する傾向がある。PSNR は大きく下がる一方で,SSIM には劇的な下降が見られない。
提案法2の場合,いずれの画像,レベルでも,圧縮率は提案法1を上回る。提案法1とは違い,分解レベルを上げるほど圧縮率は低下する。レベル1か2で最小容量となる。








圧縮画像
圧縮画像は以下の通りである。いずれも,各提案法における最小容量の画像である。
















結論
本記事では,部の Google ドライブ容量が逼迫しているという問題解決のため,GraphBior による画像圧縮を提案した。具体的に,高周波サブバンドの上位 3 % を抽出して再構成する方法(提案法1)と,サブバンドのまま保存する方法(提案法2)の2つを提案した。
提案法1は,画像の品質低下を抑えつつ,ある程度容量を圧縮できる。提案法2は,画像を参照する際に再構成する手間があるが,高い圧縮率を誇る。参照する機会が多いと考えられる直近の画像を提案法1で,古い画像を提案法2で圧縮するのが好ましい。
今後の課題として,動画の容量が多いことが挙げられる。グラフ信号処理は画像だけでなく動画にも適用できる。グラフ信号処理による動画圧縮の実装が待たれる。
さいごに
本記事を執筆するにあたり,熱心に指導してくださった張先生,岡田先生,狩野先生に感謝申し上げます。また,支えてくださった電気通信大学陸上競技部のみなさん,東京外国語大学陸上競技部のみなさん,国際基督教大学陸上競技部のみなさん,東京農工大学陸上競技部のみなさんにも感謝申し上げます。
加えて,勝手に画像を使い,誠に申し訳ございません。もし気に障るようならただちに削除するため,私に伝えてください。
