一日目
あした五時に起床。近くの七十一に朝餉済ませ調布駅へ向かふ。京王線、湘南新宿線経上尾に至り。重き足取りに上尾動き公園陸上競技場へ歩む。午前八時の集合に遅れむとすれど、 やがて前に名いださねどありしため惑はで進みき。着きしほどには四×百 m 中継に出づる 一年生四人はいまいそぎを始めたべかりき。八時半に開会式に交じりき。大会責め者どもは 年ごろぶりの本格催しがため、いと高揚せり。九時ごろより制服着、警告上がりを始め。緊 張のため体が重かりき。十時三十五分に召集を済ませ、競争始めの時を待ちき。待てるに江 戸外国語大学の吉平に会ひき。円盤投げを終へきめり。いよいよ組回りきたり。うちいで塊 に構へ、雷管鳴りき。前半二百mはとく走らむとせり。されど、後半より減速を抑ふべから ざりき。自己最善よりもなかなか遅きすゑとなりにけり。その後は競争に出でぬため後見に 回りき。千五百mの決勝に山下出でき。同じ競争に中学の同級生なりし越後大学の中戸元貴 がありき。すゑやうに、山下が元貴に勝りて嬉しかりき。一日目の競技終はり、宿舎に向か ひき。浴場に体石鹸はあるに洗髪はあらざりき。最寄りの百貨店の食品外套に夕餉をとりき。 李が焼肉をうまからむとし食へり。宿舎に戻り、十時半に寝き。
二日目
あした六時半に起床。いそぎ済ませ八時にうちいで競技場に向かひき。ローソンに朝餉と昼餉を買ひき。光冠病毒感染のためとばかり休める寺田と久しぶりに会ひき。いまだ咳いみ じく味覚障り所も残りたらまほしからむ。この日に出づる四×四百 m 中継は終盤に行はる るため、それまで競技者の後見せり。二百mには狩野が総合七ほどなりき。八百mを走りし 河内はあたらしくも準決勝に敗るれど、いととかりき。なかなかに代はりに哩中継にいでま ほしきほどなりき。山田が一万m徒競走に自己最善を改めき。十四時十分よりいそぎを始め き。集まり戦なる分、前日の四百mよりもすくみき。一年生三人もすくめるけしきなりき。 筒が回りてくるまには憂けれど、走りいださば結構楽しかりき。されど、電気音信大学の歴 代無下記録なりけり。宿舎に戻りき。前日は咖喱を食へど、この日は拉麺を食ひき。李は焼 肉を食はざりき。
三日目
あした六時に起床。宿舎をいづるに曽禰がワイヤレスイヤホン無くし惑へり。いま競技にはいでぬため気が楽なりき。一万mに千葉が二週とく目のしにけり。昼餉を食へるに人文科 目履修の抽選申し込み締め切りの近きことを知りき。惑ひて申し込みき。大会の締なる四× 四百 m 中継決勝には、台前にいで観戦するが許され大いに盛り上がりき。おのれもこの競 争にいでばやと思ひし反面、哩中継にいづるが畏しとも感じき。閉会式の後、二年生のみな と中華膳を食ひに行きき。みな楽しかりけめど、流行り性感冒がために競争にいでられざり し長田はいづこか浮かぬ顔せり。かくし折節果ての対校戦を終へき。
くわぐわやゆうま
妹へ、内定おめでとう